サージェントペパーズロンリーハーツ台風クラブバンド

今日は台風だった。窓に吹き付ける雨を日がな眺めていた。海運業界で働いていた頃は、台風の日は深酒をするのが習慣だった。航路に台風が来るとなると船舶オペレーターは1週間前からトラブル対応の先手を打つ。台風の夜には全てを仕込み終えて酒を飲む。同時に自分の対応に点数がつく日でもある。携帯が鳴らなければ御の字、次の日は二日酔いで構わない。鳴れば何かがマズかったと言う事だ。ドキドキしながら朝まで新橋や神田の居酒屋の席を温めていた頃が少し懐かしい。

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　『寝煙草の危険』/マリアーナ・エンリケスを読み始めた。子どもの霊系の話はピンとこないが、湖のほとりの聖母像にフラれた男とそのガールフレンドへの呪いを祈願する話や、道端でウンコを漏らした老人に冷たくして街ごと呪われた話など、久々に面白い短編集に当たった。『観光』/ラッタウット・ラープチャルーンサップを思い出す。『観光』は私が今まで手に取った中で最も完成された短編集だ。同じ本を5冊は買っていると思う。面白い小説を教えてくれという友人や気落ちしている友人に送ったりした。こんなにも素晴らしい作品を世に出した作者は現在行方不明である。